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第 10 回 鳩山 玲人 さん


コミットメントの大切さ

その他の英語仕事人
鳩山玲人さんインタビュー

鳩山玲人さんについて


(株)サンリオの米国法人である Sanrio Inc. の COO としてHello Kitty をはじめとする同社の Global Business を統括。青山学院大学国際政治経済学部を卒業後、三菱商事(株)、エイベックス(株)、(株)ローソン等でメディア・コンテンツビジネスに従事。ハーバードビジネススクールにて MBA を取得後、現職。現在、サンフランシスコ に在住。

(敬称略)
大塚「第 8 回目にお話を伺った スティーブ・モリヤマ さんよりご紹介を受け、『骨太で"人間力"のある人』ということで鳩山さんにご登場いただきました。はじめに現在のお仕事についてお聞かせいただけないでしょうか。」
鳩山「サンリオの米国法人の COO (最高業務執行責任者)、欧州法人の MD (最高業務執行責任者) をしておりまして、ハローキティをはじめとするキャラクタービジネスのグローバル展開を行っています。」
大塚「面白そうなお仕事ですね。米国 の COO ということは実際にアメリカ人部下をお持ちですね。アメリカ人を Manage するのは難しいと聞きます。」
鳩山「難しいですね。この会社に入って半年しか経っていませんが、日々学ぶことばかりです。例えばアメリカ人は日本人以上に指示の命令系統を大事にします。部長を通り越して課長と直接話すと部長は不快感を示しますし、課長も uncomfortable になります。」
大塚「それは良く聞きますね。だからこそほとんどの会社はフラットな組織形態をしているんでしょうね。」
鳩山「そうですね。それから communication において言葉遣いは日本以上に気をつけなければいけません。」
大塚「言葉遣いとは、具体的にはどんなことでしょうか?」
鳩山「例えば、年齢をトピックにした会話では気を使います。『歳をとっている』という言葉は不適切とされています。『新しい体制にしたい』という言葉も微妙です。昔からいる社員に『年齢で差別された』とセクシャルハラスメントで訴えてくる可能性もあります。」
大塚「それで訴えられるのですか!?」
鳩山「その可能性はあります。『若い人を登用する』という表現も 米国 では不適切とされています。もちろん年齢に限ったことではありません。性別、人種、学歴、職種全てに注意を払わなければいけません。」
大塚「それはすごい。。。」
鳩山「部下と話すのに全ての人と平等に話すように心がけています。訴訟になった場合には、仕事が全てストップしてしまうこともありますので細心の注意を払わなければなりません。」
大塚「管理職として アメリカ に赴任する日本ビジネスパーソンはみんなそんな経験をしているのでしょうか。そこまで苦心されている話は、あまり聞きません。」
鳩山「会社を大きく変えようとすると問題が起こることもあります。でも私は会社を大きく変え、成長させていきたい。だからいろいろと苦労しながら訴訟も恐れずやっています (笑)。」
大塚「なるほど。鳩山さんはこの仕事に携わられる以前に、外国で暮らしておられたご経験はありますか。」
鳩山「幼い頃、アメリカ に 2 年、オーストラリアに 4 年住んでいまして、昨年 米国MBA (経営学修士) を取りましたので アメリカ については良く知っているつもりでした。それでも仕事を始めた当初は驚きの連続でした。何しろ文化・習慣が全く日本と違います。もう一つ例を挙げますと日本人は ビジネス の場においてすぐに本題に入りたがります。アメリカ ではすぐに本題に入ってはいけません。まずは親しみをこめて First name で呼び、『奥さん、子供さんはどうしている?』等と話しながら徐々に本題に入っていきます。忙しければ忙しいほどこれが大切になります。いろいろな意味で距離感をつかむのに今でも苦労してます。」
大塚アメリカ で長年住まれた鳩山さんでも距離感が分からないというのは驚きです。大抵グローバルな人材になりたいとか アメリカ で働きたいというとどれだけ英語が出来るかという話になりますね。鳩山さんの話を聞いていると英語云々なんて小さな話のように感じてしまいます (笑)。」
鳩山「同じことを日本語でやれといわれても難しい。。。決して英語の問題ではありません (笑)。」
大塚「鳩山さんにとって国際人とはどういうスキルを持った人を指しますか。」
鳩山「何事も直接現地に行き、相手に会い、時間・価値観を共有し、お互いを理解していく力を持った人だと思います。」
大塚「どういうことですか?」
鳩山「机の上で考えていてもダメだということです。何事も実際に自分の目で見て、体感し、肌感覚で接する。マーケティングや戦略も必要ですが、一番大事なのは人との関係を大切にすること。どんな相手に対しても態度を変えず、肩書きで納得させるのではなく、コミュニケーションをしっかりととり、理解してもらうことに徹することが大切だと思います。」
大塚「確かに日本人は『それくらい分かれよ』とか『何で分かってくれないんだ』と思い、説明するのを諦めてしまう悪い癖がありますね。そもそもバックグラウンドや価値観が違うのだから分かるはずはありません。鳩山さんの『理解してもらうことに徹する』姿勢は、世界を舞台に働くには MUST ですね。」
鳩山「そう思います。」
大塚「鳩山さんは 米国 のみならず欧州も担当されていますね。ヨーロッパは何カ国を担当されているのでしょうか?」
鳩山「サンリオでは 30 カ国以上に参入しています。」
大塚「『何事も自分の目で見て体感』って仰いましたが 30 カ国とは多すぎます (笑)。」
鳩山「例えば来週のスケジュールを言いますと、月曜日はストックホルムに飛び、ファッションブランドと交渉をし、火曜日はオーストリアの宝飾品会社と交渉、水曜日はミラノの事務所で打ち合わせを行い、木曜日はパリの店舗に関する打合せ、金曜日からはロサンゼルス/ハリウッドに向かうなど、世界中を飛び回っています (笑)。」
大塚「激務ですね。でも充実していそうですね。それだけいろいろな国をまわっていますと文化の違いに戸惑うことはありませんか。」
鳩山「それはありますね。アラブ人は個人と個人のリレーションシップに重きを置く独特のビジネス感覚を持っているので、慎重に交渉しなければいけません。ユダヤ人は大変厳しい交渉を仕掛けてくる。こういった多様性を知るほど、グローバル=アメリカ ではないことがよく分かります。」
大塚「そうでしょうね。話が変わりますが、鳩山さんは昨年ハーバード・ビジネス・スクールを卒業されました。MBA (経営学修士) はいかがでした?」
鳩山「自分を再確認できたという点で行って非常に良かったと思います。」
大塚「自分を再確認とは?」
鳩山MBA は勉強だけでも相当大変です。そんな中でどれだけその他の活動にコミットできるか。大学時代のゼミの担当教授の 石倉洋子先生 (第 4 回目にご登場) が『自分が大事ではないことから取っていくべき』と仰っていたのが非常に印象に残っています。これは『人間は歳をとると興味も対象も縮まっていく。そうならないように自ら進んであえて興味の対象が違う人と会ってみたり、一見自分には関係がなさそうなことをやってみたりして、自分から意識して人間としての幅、人脈を広げる努力をする』という意味で、私はこの考えを大切にしております。MBA 時代、勉強で忙しい中、あえてベンチャーのお手伝いをしたり、コンサルプロジェクトに参加したり、教授と教材作成をしたり課外活動を積み重ねていきました。また、週 2 回アカペラグループの活動をしたり、日本人同士でバンドを結成して 100 周年記念のイベントでライブを行ったり、DJ をやったり、Japan Trip といって学生を日本に連れてくる一大イベントを 2 年連続で企画したり、築地から刺身を直接仕入れて寿司パーティを開いたり、そば粉を輸入してそばを自分で打ってそばパーティを開いたりするなど、ハーバードの仲間との交流を深めることをいろいろやっていました。」
大塚「私も MBA を出ましたが、とてもそんな時間を見つけることができませんでした (笑)。」
鳩山「これはコミットメントです。一度やるといったらどんなことでもやり遂げなければなりません。ハーバード・ビジネス・スクールでさまざまなことが実践できたというのは大きな自信につながりました。」
大塚「ハーバード時代、特に印象に残っていることは何でしょうか?」
鳩山「ハーバード付属幼稚園という NPO (非営利団体) がありまして、その理事もやっていました。うちの子供もそこに通わせましたが、その幼稚園は全て園児の親で運営されており、先生の数を何人にするか、カリキュラムはどうするか等、月 2 回の理事会で全て決めます。掃除をする日もみんなで決めて交代で行う。アート (絵) の先生を呼びたいと思ったらみんなで募金活動を行い集める。集まらなかったら呼ばない。どういう子に育てたいのかをみんなで徹底的に議論し、全員でその目標に向けてコミットして、動いていく。今、日本の保育園が足りないといわれていますが、『安く預かってよ。私たちは働いているから。』ではなく、地域住民で協力して実際に運営してみる。安全面が心配だったら会費を上げて人を雇う。予算が足りないのならみんな交代で交差点に立つ。カリキュラムもそれを任せる先生もすべて自分たちで決め、親自身が直接参加して運営する。結局こういった姿勢を親が見せないと子供は育っていかないと思います。」
大塚「素晴らしいですね。鳩山さんの話を聞いていると、人に任せで文句ばかり言わないで、積極的に参加して自分もコミットして物事を動かしていかなければいけないという強い精神が感じられます。これはどこからくるのでしょうか?」
鳩山「家族の教えからの価値観かもしれません。『一度コミットした事は何が何でもやり抜く』、『何事もまず自分が一番努力を惜しまずやらなければならない』という家族から教わって育ったと思います (笑)。」
大塚「すごいですね。そういった姿勢を見せることで鳩山さんは周りを動かしていっているわけですね。見習わなければなりません。そんな鳩山さんは人生のゴールをどこにおいているのでしょうか?」
鳩山「父が 40 歳で亡くなった関係で、私は人生のピークを 40 歳とずっと考えてきました。今 34 歳ですのであと 6 年間ということですね。今は経営が面白くて仕方がないのでサンリオのグローバル展開を成功させていきたいと思っています。しかし将来は何が起こるかわからない。何をやるにしても、まずはやっていて面白いかどうかを判断基準に、一度コミットしたら明日があると考えずに突進していきたいと思っています。」
大塚「鳩山さんの 5 年後、10 年後が楽しみです。本日はありがとうございました。」

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